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アパート・マンションの防犯対策。集合住宅ならではの意外な盲点とは?

 

戸建て住宅に比べ、「みんなで住んでいるから安心」と、

勝手な集団心理が働いてしまう人が多いアパートやマンション。

 

でも本当に戸建て住宅より安全なのでしょうか?

エントランスのオートロックやピッキング対応キーなど、

セキュリティー万全に見える物件にも意外な盲点があります。

 

アパート・マンションの防犯対策は何をすればいいのか解説します。

 

アパート・マンションVS一戸建て住宅!どちらが危険?

右の図は、愛知県の住宅侵入盗における戸建て住宅と

共同住宅との割合を示したものです。

 

見て分かる通り、戸建て住宅が全体の70%以上狙われています。

一方、アパート・マンションなどの共同住宅は30%弱となっています。

 

一見すると戸建て住宅の方が圧倒的に狙われやすいように見えますが、

アパート・マンションの場合、狙われやすい部屋がある程度決まっていることを考えると、

単純に約3倍戸建て住宅の方がリスクが高いということでもないかもしれません。

 

103件の空き巣(被害総額1520万円相当)の罪で2015年4月に大阪で捕まった犯人は、

マンションの高層階を狙って犯行を続けていました。

 

元とび職だったこの犯人。

「高いところは怖くない」と供述していますが、

その手口は排水パイプをよじ登って高層階まで上がるというものでした。

 

その事件以外にも、アパート・マンションばかりを狙う犯行が多数報告されています。

そう考えるとアパート・マンションも侵入盗被害にあう危険が十分にあることを

予知しておくべきですね。

 

アパート・マンションの特徴。狙われる時は「空き巣」が多い

侵入盗の手口にはいくつかの種類がありますが、

アパート・マンションなどの共同住宅が狙われる時にはある共通の特徴があります。

 

それはほとんどが「空き巣」という手口で狙われるということです。

 

すでにご存じの情報かもしれませんが、

改めてそれぞれの手口の定義を確認しておきましょう。

 

「空き巣」とは、住人が不在の時に侵入して窃盗する犯行の事です。

「忍び込み」とは、夜間に住人が寝静まった時に侵入して窃盗する犯行を指します。

そして「居空き」とは、昼間に住人がいる時に侵入する手口です。

戸建て住宅の場合、家人が2階にいる時などで、

犯人の侵入に気づかない時にこの手口で侵入されることがあります。

 

しかしアパート・マンションなどの場合、間取りがある程度限られていて、

部屋と部屋の距離も近いので物音に気付きやすい事もあり、

この手口での侵入はほとんどないのでしょう。

むしろ、犯人も留守だと思って侵入したのに在宅だったというケースかもしれません。

 

いずれにしても、アパート・マンションが狙われる時には、

住人の不在時が狙われやすいことが分かります。

 

ということは、ここにアパート・マンションの防犯対策のヒントがあります。

 

アパート・マンションが空き巣に狙われる3つの理由とは?

アパート・マンションの場合空き巣の手口で狙われることが多いのには、

共同住宅特有の3つの理由も大きく関係しています。

 

理由その1 居住者が日中、部屋を空けていることが多い

共同住宅(特に賃貸住宅)の場合、単身者や共働きの世帯が多いため、

日中は建物自体に人気がなくなることが多くなります。

 

つまり、泥棒にとっては狙いやすい状態になります。

 

理由その2 住人が顔見知りではない

共同住宅(特に賃貸住宅)の場合、

居住者同士の近所付き合いが少ない傾向があります。

 

上下両隣の人は知っていてもそれ以外の住人までとなると、

段々見かけたことがあるぐらいになっていく住環境です。

 

ドロボウが嫌がるものの一つが、人の目。

こうした環境は、犯人と怪しまれにくく、泥棒にとっては好都合と言えます。

 

理由その3 共同住宅は、居住者による防犯対策がされていないことが多い

賃貸住宅では、大家さんの許可なしに鍵を交換したり、

壁に穴を開けるような防犯グッズを使用することができないことや、

退去時には現状回復が求められるため、

簡易的な防犯対策しかできない場合があります。

 

また、分譲マンションでも危機意識の低くさからか、

適切な防犯対策とられていない家が多く見受けられます。

 

こうした理由によって、

一人暮らしのアパート・マンションだけを狙う犯人もいるようです。

 

だからこそ防犯対策済みの物件は人気物件に。

下の表は、週刊全国賃貸住宅新聞に発表された

「入居者に人気の設備ランキング」です。

 

「この設備があれば、家賃が高くても入居を決める」というアンケートの結果です。

そこで毎年上位10位内に必ず入るのが防犯設備です。

 

なかでもエントランスのオートロックは、

単身向け・ファミリー向けに関わらずいつも上位3位に食い込む

人気防犯設備となっています。

 

他にもホームセキュリティー防犯カメラなども、

人気の防犯アイテムとして選ばれています。

 

エントランスのオートロックに意外な盲点が

防犯アイテムとして人気のエントランスのオートロック

様々な安心な機能が期待できます。

 

しかし、この防犯設備にはある意外な盲点がありました。

その点について解説する前にエントランスオートロックの

仕組みについてご説明しますね。

 

まず、入居者が帰宅時にはエントランス前に設置された

コントロールパネルに暗証番号を入力、

または鍵を用いてオートックを解除します。

 

また、訪問客がいた場合にはインターホンで確認後、

入出を認めた人だけがマンション内に入れる仕組みになります。

 

しかし、本当に入居者の了承を得た人だけが入出しているのでしょうか?

オートロックシステムの意外な盲点は入居者が外出の際の仕組みにあります。

 

通常のオートロックシステムは、右の図のように入居者がガラス扉に近づくと

人感センサーが反応して、自動的にガラス扉が開閉します。

 

実はここに落とし穴があります。

手口の詳細は書けませんが、犯人たちはこの人感センサーを反応させて、

簡単にオートロックシステムを解除し入出する方法を知っているのです。

 

でも、普通の人はこんな方法を知りません。

ですから、エントランスのオートロックがあると、

防犯レベルが非常に高いのだと思ってしまします。

 

すると今度はオートロックマンションの防犯性能を弱める3つの要素が生まれます。

その3つの要素とは?

 

住人が「オートロック」の内側にいる人間は、「住人」またはその住人の許可した「知人・業者」と思い込んでしまう。

このことによって、アパート・マンション内に侵入した泥棒は、

住人に目撃されても怪しまれるリスクを回避することが出来てしまいます。

 

善意の第三者はオートロック内に入れない

「善意の第三者」とは、何の悪気もなく訪問する訪問客や業者のことです。

ピザのチラシ配りとか宗教の勧誘のおばさんとかが善意の第三者に当たります。

 

通常この類の人は、

一軒一軒ポスティングなりインターホンを押したいので玄関先までやってきます。

 

しかし「善意の第三者」ですから、

オートロックを不正解錠してまではマンション内に入ることはしません。

 

すると、何が生じるでしょうか?

アパート・マンション内に侵入した犯人が、

そうした突然やってくる人の目を気にせずに仕事ができてしまうのです。

 

空き巣犯が仕事をしようとしたその時に「善意の第三者」の目を

まったく気にしなくて済むのというのは犯人に作業のしやすい環境を

与えることになっているのです。

 

「オートロック」があるから、玄関の防犯強化を考えない

オートロック付きの住宅に住む方の多くが、

「自分の家には玄関が2つある」という錯覚を抱いてしまいがちです。

 

なので、本当の自宅の玄関の防犯対策に対して無頓着になってしまいます。

場合によっては少しの外出なら玄関の鍵もかけずに出て行ってしまうことも。

このような状況だと、いとも簡単に空き巣犯の被害にあってしまいます。

 

もちろん、犯人は律儀にエントランスからだけ侵入してくるわけではありません。

壁を乗り越える、雨どいよじ登るなどと様々な方法を使います。

 

いずれにしても、住人の「うちのマンションにはオートロックがついているから」

という安心感が隙を生み出してしまうのです。

 

ピッキング対応の鍵は空き巣をどれほど防ぐのか?

エントランスのオートロックと同じく、付いていると安心の防犯アイテムに、

ピッキング対応の「ディンプルシリンダー錠」があります。

 

最近の物件ではこのピッキング対応の鍵も、もはや当たり前の標準装備になっています。

 

「ピッキング対応」と表示されていれば、

性能の差はあるとはいえまずピッキングによる解錠は困難です。

 

例えば世界最高峰レベルの錠前メーカーである「Kaba star neo」であれば、

その鍵違い数は2兆2千億通り。

ぼぼ世界に一つだけの鍵で、ピッキングに限らずその他の不正解錠も不可能と言えます。

 

これだけの性能の鍵が玄関を守っていると考えると確かに安心感があります。

しかし別のデータを見るとその実態に愕然とするかもしれません。

 

下の表は平成27年度警察庁の発表した共同住宅における

侵入手口の割合を示すデータです。

  【共同住宅における侵入手口の割合 左:3階以下 右:4階以上

 

それによると3階以下、4階以上に関わらず、最も多い手口は無施錠による侵入なのです。

 

後でも解説しますが特に4階以上に住んでいる場合は、

玄関からの侵入が半数を占めています。

その反応の41.3%が無施錠つまり鍵のかけ忘れで侵入を許してしまっているのです。

 

一方でピッキングによる侵入は0.6~1.9%と、

この手口に対しては確実に効果を発揮していることが分かります。

恐らくこの0.6~1.9%に該当する家は、

ピッキング対策が取られていない鍵を使っていたのでしょう。

未対応の鍵は3秒ほどで不正解錠ができるともいわれています。

 

しかしいくら高性能な鍵であっても、

鍵を掛けなければ鍵の役割は果たさないのです。

 

これは当たり前の事実なのですが、

被害に遭う多くの方が当たり前を忘れて侵入を許してしまうのです。

 

アパート・マンションの対策ポイントは2つ

防犯対策のポイントは、弱点を強化することです。

では、アパート・マンションの弱点とは何でしょうか?

 

これもデータから検証してみましょう。

 

下の表は共同住宅における侵入経路を示したデータです。

  【共同住宅における侵入経路の割合 左:3階以下 右:4階以上

 

3階以下と4階以上では侵入経路の割合が逆転していることが分かりますが、

主な侵入経路は2つしかありません。

 

それは、玄関ベランダ窓です。

通路側にも窓はありますが大抵の場合面格子が付いているため、

その窓からの侵入はあまりありません。

(※だからと言って何も気にしなくていいわけではありません。)

ですから、アパート・マンションの防犯対策は、玄関とベランダ窓に絞ることができます。

 

では具体的にどんな対策ができるのかご説明します。

 

ベランダ窓

1階から3階にお住いの場合、窓からの侵入が56.9%となっています。

また、4階以上にお住まいの場合でも35.5%が窓を狙われています。

この場合は、ベランダ伝いに軒並みやられてしまうケースが報告されています。

 

それでまずは窓の防犯対策です。

 

防犯ガラスや防犯フィルムが有効になりますが、

賃貸物件の場合、退去時に原状回復が求められることもあるので、

防犯フィルムの方が良いでしょう。

 

また、クレセント錠は防犯対策済みの防犯窓鍵に交換しましょう。

おすすめの商品は「あかないんです」

ダイヤルロック付きの窓鍵で、3桁の暗証番号が合わないと解錠できません。

既存のクレセント錠と交換するだけですから、

賃貸物件で退去する際にも元に戻すことも簡単です。

 

その他にも補助錠も有効にですが、防犯で大切な事は「毎日続ける」ことです。

長期の外出となると補助錠を使うけど、毎日のちょっとしたお出かけというと

補助錠を使うことを忘れてしまう方が多いようです。ご注意ください。

 

玄関

4階以上のお住いの場合は50.9%が玄関からの侵入です。

前項で解説した通りその中の41.3%が無施錠つまり「鍵のかけ忘れ」です。

 

この問題はどうしたら解決できるでしょうか。

 

有効な手段として、電子錠の設置があります。

ほとんどの機種に玄関が閉じて約5秒後に自動でロックがかかります。

鍵を持っていなくても暗証番号で解錠できるので、

わざわざ鍵を持ち歩く必要がなく便利です。

分譲マンションの場合は新規設置することでワンドアツーロックにもなります。

 

賃貸物件の場合は、新規設置にオーナーか管理会社の許可が必要になります。

そこで既存のシリンダー錠を電子錠に交換できる商品もあります。

例えば「イージス・ゲート」。

ドアへの加工が不要で、暗証番号のほかにICカード、

シール型ICチップでも認証可能なので、子供からお年寄りまで簡単に使用できます。

 

玄関の対策は「高性能な鍵」よりも「かけ忘れのない鍵」が必要なのです。

 

外出の際に何階に住んでいても鍵かけをしっかりと。

高層階に住んでいると「まさかこんな階まで泥棒はこないだろう」と、

ベランダ窓の鍵を掛けずに外出してしまう方が多いようです。

 

しかし、油断は禁物です。

 

2016年12月に神奈川県で起きた事件は、

38階建てマンションの最上階の部屋で発生しました。

現金3500万円と腕時計5個(時価合計約980万円)が盗まれました。

 

なんとこの犯人は屋上からロープを使ってベランダに降り、

鍵の開いている窓から侵入したのです。

 

超高層マンションということでマンションオーナーも本当に「まさか」と思ったはずです。

結局この時の犯人はマンションオーナーの経営する飲食店の従業員で、

犯人はこの経営者宅に何度も招かれていて、現場の事情にも詳しかったようです。

 

このようなケースはまれかもしれませんが、

マンション最上階が同様の手段で狙われることはよくあります。

 

クモが糸を使って下がる様子と似ていることから、この手口を「さがり蜘蛛」と言います。

また、記事のはじめに挙げた事例のように雨どいを伝って何階でも登っていく泥棒もいます。

 

いずれにしても、「こんなところまでは来ないだろう」という隙を狙われているのです。

それで、外出の際には何階に住んでいたとしても必ずベランダ窓の鍵、

そして玄関ドアの鍵を掛けて外出しましょう。

 

特に夜間の外出は照明がついていないと留守だと思われてしまいます。

電気を付けて外出する一工夫も必要でしょう。

 

まとめ

アパート・マンションに人気のエントランスのオートロックや、

ピッキング対応のディンプルシリンダーにも意外な盲点があることを

ご理解いただけたでしょうか。

 

共に付いていることで共住者に安心感を与えます。

しかし、その安心感があだとなってしまうのです。

 

「安心」と「安全」はイコールではありません

集合住宅ならではの弱点を理解して、その弱点を補強することが大切です。

たとえ賃貸物件であってもできることはあります。

 

できることから始めていきましょう。

 

 

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