【防犯設備士監修】賃貸物件・賃貸アパートの防犯対策。侵入させないために出来ること。
毎年春の時期は、新生活や異動に伴って、賃貸物件が特に賑わうタイミングです。
皆さんも新たなスタートに、ワクワクドキドキしつつ、
希望する間取りや家賃に合った物件を探したり、
お目当てだった物件に実際に住み始めたりしているのではないでしょうか?
さて、このコラムをご覧いただいていることからしてお分かりの通り、
賃貸物件では「防犯」の面で不安を感じられる方が少なくありません。
なぜかというと、分譲物件とは違って賃貸物件では「原状回復が基本」ですし、
大家さんや管理会社の意向によって、自分の思う防犯対策ができない、
というケースも多いからです。
また、防犯面で不安を覚えつつも、何をどうしたら良いのか、
どんなアイテムを活用したら良いのか分からない、ということもあります。
もちろん、最初からセキュリティ面で安心できる物件があれば最高ですが、
多くの場合、そういった物件を見つけるのも難しい状況にあります。
では、どうすれば良いのでしょうか?
賃貸物件において、毎日安心して穏やかに生活していくために、
どんな点に気を付けることができるでしょうか?
また、どんな防犯対策を実際に行うことができ、
どんな防犯アイテムを活用することができるでしょうか?
この記事では、そんな賃貸物件への防犯対策に関して、
空き巣対策のプロである防犯設備士が解説・ご提案します。
監修者
防犯設備士
愛知県セルフガード協会 防犯設備アドバイザー
小野達也[株式会社ウエラ名古屋]
賃貸物件で、今すぐできる防犯対策とは?
ではまず、賃貸にお住まいの方でも今すぐできる防犯対策について、
いくつかご紹介したいと思います。
ご紹介する中には、「それはもう、当たり前の事だろう。」と、
感じられるものもあるかと思いますが、
意外とその「当たり前」が出来ておらず、被害に遭っているのが実情です。
そして、その「ちょっとした隙」を、侵入犯は決して見逃しません。
それで、ぜひ今一度の再確認としてご覧ください。
とにかく施錠を徹底する
まず、できることの1つ目は「施錠の徹底」です。
この基本のキをちゃんと押さえていれば、多くの被害を防ぐことができます。
なぜかというと、実は空き巣被害の「40%」が、”無施錠”だからです。
ですから、どれだけ高機能・高性能の防犯アイテムを活用していたとしても、
基本のキである「施錠」が出来ていなければ、すべてが無駄になります。
まずは改めて、忘れずに「施錠」すること、これを習慣づけましょう!
ポストや玄関先に表札を出さない
名前、特にフルネームは、侵入犯にとって、
性別やある程度の年齢層まで把握できる要素となります。
ですから、もし表札に自分の情報を提示するとしても、
また、大家さんや管理会社の意向で表示しなければいけない場合でも、
苗字までに留めておくのが賢明でしょう。
不都合が生じないなら、表札自体を出さない方がより安全です。
号室プレートやインターホンに、変な数字やシールがないか確認する
ふと、インターホンや号室プレートを見たら、
何かアルファベットや数字で書かれた暗号のようなものが落書きされていた、
という経験をお持ちかもしれません。
これは、「ドア・マーキング」と呼ばれるもので、
住んでいる人の性別や特徴を暗号のような形で表したものになります。
例えば、「M=男性」「W=女性」「S=一人暮らし(シングル)」
といった具合です。
また、これらの暗号の組み合わせによって、
例えば、「SW 8-18(ル)= 一人暮らしの女性で8時~18時まで留守」
といった具合に、あなたの行動パターンまでバレてしまっている場合もあります。
もちろん、何がどのような意味を持つのか、その正確なところは分かりません。
でも明らかに、”その類の仕事”をしているたちにとっては貴重な情報になります。
ですから、そういった「ドア・マーキング」を見つけた場合には、
すぐに消して情報が漏れないようにしましょう。
家に入る時は、必ず周りを見回して異変や違和感がないか確認する
侵入犯たちは必ず下見をすると言われています。
そして、侵入するための下準備を行っていたりする場合もあります。
ですから、帰宅した際には、部屋に入る前に必ず周囲の様子を見渡して、
何か物が勝手に移動していたり、誰かが後を付けたりしていないかなど、
よく確認するようにしましょう。
また、鍵をかけたはずなのに鍵が開いていたり、
玄関の様子がいつもと違うような感覚をもし覚えたなら、
決して家の中には入らないでください。
例えば、2022年5月1日に北海道滝川市で、
36歳の男が住居侵入の疑いで逮捕されるというニュースがありました。
どのような事件だったかというと、
その住居に住んでいた女性は朝外出する際に、
玄関のカギをかけ忘れてしまったとのこと。
しかし、夜に帰宅したところ、
なぜかその開いているはずの玄関の鍵は掛かっていたようです。
不審に思ったその女性は、すぐに警察に通報。
警察とともに家にはいったところ、人はおらず荒らされた形跡もなかったものの、
窓が開いていたようです。
翌日に男が窃盗目的で家に入ったと自首したため、逮捕となりました。
いかがですか?
もし、この時侵入犯がまだ家の中に居て、
何も気にせず女性の方が部屋の中に入ってしまったら…。
そう思うだけで、ゾッとするのではないでしょうか?
もしも鉢合わせになると、侵入犯は何をしてくるか分かりません。
ですから、もし少しでも違和感を覚えたなら、
まずはご自身の命を一番に考えてください。
一度その場から離れたり、助けを求めたり、通報したりしましょう。
住んでいる場所が特定できてしまうような写真や動画をSNSにアップしない
最新は、SNSを活用して自宅を特定し、侵入を試みようとする被害が増加しています。
空き巣被害はもちろんのこと、ストーカー被害などに遭わないためにも、
自宅付近や自宅を特定できそうな特徴をSNSに掲載するのは控えましょう。
また、「今どこどこに旅行している。」といったSNSの投稿も、
侵入犯の目線で見れば、その間は家に不在であることを示すものとなります。
ですから、安易に自分の行動を公開しないように注意しましょう。
女性の洗濯物は外干しではなく「室内干し」にする
晴れの日には洗濯物を外に干す、という方も多いことでしょう。
とはいえ「洗濯物」も、誰が住んでいるかを明らかにしてしまう要素になります。
特に、女性物の洗濯物は、空き巣だけでなく下着泥棒などの侵入犯にも、
女性が住んでいることを示す情報となり得ます。
それで、できるなら女性物の洗濯物は、「室内干し」にされた方が賢明です。
もしどうしても難しい場合は、人目に付きにくいような対策を講じましょう。
また、敢えて男性物の服を一緒に干しておくことも効果を発揮します。
女性が住んでいると思わせる色のカーテンは避ける
女性が住んでいると思わせる色味のカーテンは、
泥棒たちにとって侵入を試みようかと思う情報の一つとなります。
特に単身向けの賃貸物件の場合は、被害のリスクがより一層高まります。
インテリアのこだわりとの兼ね合いもあるので、難しいところですが、
防犯上の観点から見るなら、控えめやデザインや色味のものを選ばれると良いでしょう。
賃貸物件で、お勧めの防犯対策アイテム・グッズ
では次に、賃貸物件でも活用できる防犯アイテム・グッズについて、
いくつかご紹介したいと思います。
ただし、賃貸物件では、基本的に大家さんや管理会社の了承が必要になりますし、
退去時には原状回復も求められます。
防犯性能を高めることになるのだから良いのではと考えがちですが、
後でトラブルになる可能性もあるので注意が必要です。
その点を留意した上で、ご参考ください。
item01.防犯フィルム
一つ目としてご紹介するのは「防犯フィルム」です。
当たり前のことですが、窓は”壁”ではありません。
泥棒たちはそれをよく知っているので、実に「6割」の泥棒が窓から侵入します。
ですから、窓を強化することがどうしても必要になります。
この点で有用な働きをするのが「防犯フィルム」です。
下敷きほどの厚みのあるフィルムが、「こじ破り」や「打ち破り」などの、
窓を狙った侵入に対して対抗します。
とはいえ、注意すべきこともあります。
それは「厚み」と「大きさ」です。
例えば、厚みは「350μ(ミクロン)以上」であることが推奨されています。
また、窓ガラスの一部ではなく「窓全体」に貼り付けることも推奨されています。
それで、市販のA4サイズほどの大きさの防犯フィルムや、
200μほどの厚みしかないフィルムなどでは、十分な効果を期待できません。
本気で窓への対策を検討しておられるのであれば、
防犯フィルムを施工している防犯施工店に依頼されることをお勧めします。
item02.防犯窓鍵「あかないんです」
どの住宅の窓にも、窓を開閉するためのクレセント錠が付いています。
しかしこのクレセント錠は、「錠」という文字が入ってはいますが、
実のところ「錠」ではありません。
窓の気密性を高めるための「締め金具」に過ぎないのです。
ですから、玄関や勝手口に「鍵」が付いているのと同じように
窓にも「鍵」を付けることは重要です。
この点で、防犯窓鍵「あかないんです」は、
3桁のダイヤルロックが付随した、数少ない「窓鍵」です。
そして、「窓鍵」でありつつも、
自分で既存のクレセント錠と交換して設置することが可能です。
それで、防犯フィルムと合わせて設置し、チームとして機能させましょう。
item03.玄関ドア用「チェーンでロック」
「チェーンでロック」は、
現在設置されているドアチェーンに追加するだけの防犯アイテムです。
出かける前や帰宅時に、外からドアチェーンを施錠・開錠することができます。
もちろん、在宅中にドアチェーンを施錠することもできます。
取付も簡単で、穴を開けたりする必要もないため、賃貸物件にも活用できます。
item04.玄関ドア用「ワイヤレスドアモニター」
「ワイヤレスドアモニター」は、
カメラ付きインターホンへの取り換えなどが難しい場合に、
有用な防犯アイテムです。
ドアの上面にドアカメラ本体を引っ掛けるだけの簡単設置ですので、
こちらも穴あけ工事や電気工事なども必要ありません。
カメラの横にマイクとスピーカーもついているため、
家の中からモニターで確認し、応答が可能です。
item05.窓用「どろぼーセンサーⅡ」
「どろぼーセンサーⅡ」は、窓ガラスに貼って取付ける防犯センサーです。
窓ガラスの破壊、もしくは窓の開閉、
そのどちらかを検知すると、一定時間大音量のアラームが鳴動し警告します。
貼って取付けるだけなので、賃貸物件にも安心・最適です。
item06.カギの閉め忘れ防止「ChecKEY Ⅱ」
「ChecKEY Ⅱ」は、現在お使いのキーに取付けることのできるアイテムです。
カギを操作することで、表示窓の色が変化し、
視覚的にカギの開け閉めの状態をチェックできます。
「キーを挿す」そして「キーを回す」の2つの動作を経てはじめて、
表示窓の色が切り替わる構造になっており、確実に施錠したかどうかを確認できます。
賃貸物件を選ぶ際に確認しよう!「防犯チェックリスト」
では最後に、賃貸物件を選ぶ際、
防犯面でどんなチェックを事前に行うことができるでしょうか?
以下に、その「チェックリスト」をまとめてみましたので、
ぜひ一度確認なさってみてください。
Check01.該当物件の市区町村や、近隣エリアの犯罪件数・傾向はどうか?
一つ目は、地域の犯罪状況を確認することです。
該当する市区町村のホームページや、都道府県警のホームページなどを見ると、
地域の犯罪統計や最新の犯罪情勢などが掲載されています。
ぜひそういった統計や報告を確認して、
住もうとしている地域の治安レベルを見極めましょう。
Check02.該当物件周辺のコンビニのトイレには、張り紙があるか?
2つ目は、住もうとしている物件周辺のコンビニに行ってみることです。
特に、そのコンビニのトイレの張り紙に注目なさってみてください。
治安の悪い地域では多くの場合、
「トイレットペーパーを持って帰らないでください」
「トイレを使用しないでください」といった張り紙が掲げられています。
こういったものも、治安レベルを確認する上で大きな助けとなります。
Check03.該当物件には、どんな鍵(玄関・窓)が採用されているか?
賃貸物件では、入居者の交代ごとに鍵が交換されることが一般的なため、
多くの物件では昨今の状況に合わせた安全性の高い鍵が採用されつつありますが、
その一方で未だに危険な鍵が使用されていることもあります。
それで、大家さんや管理会社に、
事前にどんな鍵を使っているのか確認してみることをお勧めします。
鍵については、別のコラムでもご紹介していますので、
そちらもご覧ください。
Check04.該当物件には、カメラ付きインターホンが付いているか?
カメラで訪問してくる人たちの顔や姿を確認できることは、
防犯面で大きな助けとなります。
なぜなら、やはり侵入犯としては、
出来る限り顔を見られたり特定されたくはないからです。
それで、最初からカメラ付きインターホンが設置されている物件を、
探してみるのが良いでしょう。
もし、そういった物件がない場合でも、
「ワイヤレスドアモニター」などを設置することで対策できますので、
活用なさることをお勧めします。
Check05.該当物件の郵便受けは、施錠できるタイプのものか?
侵入犯たちが狙っているものは、何も現金や金品だけとは限りません。
個人情報も、犯罪者たちにとっては格好の獲物になります。
ですから、賃貸アパートやマンションなどでは、
ちゃんと施錠できるタイプの郵便受けや集合ポストになっているか、
確認しましょう。
もしそうなっていないなら、後付けでポストに鍵を付けるようにしましょう。
Check06.該当物件の周辺は、人気が多く、夜間も灯りがあって明るいか?
やはり侵入犯たちも捕まるわけにはいきませんし、
緊張状態の中での”仕事”ですので、少しでもリスクの低い場所を狙います。
人気の少ない場所。灯が少なく目立ちにくい場所。
通りに面しておらず身を隠しやすい場所。
そういった場所を自然と泥棒たちは選ぶわけです。
それで物件の下見の段階でそういった部分も確認しましょう。
出来るなら、昼と夜それぞれの周辺環境の様子を見れると良いですね。
Check07.該当物件のゴミ置き場や共有部分は、キレイで整然としているか?
住もうとしている物件の管理状況も、見過ごせないポイントです。
エントランスや階段、廊下部分の掃除が行き届いていなかったり、
ゴミ置き場が整理されたり、キレイになっていなかったりする場合は、
管理が行き届いていない証拠です。
住人の防犯意識が低いことにもつながりますので、
防犯の観点から見ると、そういった物件は控えた方が賢明でしょう。
まとめ
このコラムでは、賃貸物件にお住いの方、
賃貸物件への居住を検討しておられる方に向けて、
いますぐできる防犯対策や、事前に確認したいチェックリストなどをご紹介しました。
現実的に言って、完全・完璧な防犯対策を作り出すというのは正直難しいものです。
とはいえ、防犯意識を常に高く持ち、基本のキをしっかりと押さえるなら、
空き巣被害やその他の犯罪に遭うリスクは確実に低くなります。
今できることを行って、確実に住まいの防犯力を高めていきましょう!
このコラムがその点で少しでも助けになればと願います。
住まいの防犯リフォーム専門店
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